モロッコを旅すると、アルガンオイルが美容だけのものではないことに気づきます。食卓にもアルガンは息づいており、その代表的な存在のひとつが「アムルー(Amlou)」です。
香ばしいナッツの風味と、とろりとした口当たり。パンにつけて朝食やおやつに楽しむアムルーは、モロッコ南西部の食文化を感じられる素朴な一品です。
アムルー(Amlou)とは
アムルーは、一般にアーモンド、食用アルガンオイル、はちみつなどを合わせて作るペーストです。家庭や店によって配合や甘さ、なめらかさは異なり、それぞれの味があります。
見た目はナッツバターに似ていますが、アルガン特有の香ばしさが重なることで、モロッコらしい味わいになります。焼きたてのパンやムスンメンと呼ばれる平たいパンと合わせることもあります。
美容用と食用のアルガンオイルは同じではない
ここで大切なのは、食卓で使うアルガンオイルと、スキンケアに使う化粧品用アルガンオイルを混同しないことです。
食用アルガンオイルは、香ばしい風味を引き出すために原料を焙煎してから搾油する製法が知られています。一方、化粧品として肌や髪に使うアルガンオイルは、食用とは目的も製造工程も異なります。化粧品として販売されている製品を料理に使うことはできません。
アルガンオイルの種類については、「アルガンオイルにはどんな種類がある?食用・美容用の違いと選び方」でも紹介しています。
アルガンの木が育つ土地と食文化
アルガンの木はモロッコ南西部を中心に育ち、その実から採れるオイルは地域の暮らしと深く結びついてきました。美容のイメージが強いアルガンオイルですが、現地では食文化の一部でもあります。
アムルーを知ると、アルガンオイルが「美容素材」として世界へ広がる以前から、人々の生活の中にあったことが見えてきます。ひとつの植物が、食卓にも美容にも使われてきた背景には、その土地ならではの知恵があります。
モロッコの朝食で出会うアムルー
モロッコの朝食には、パン、オリーブ、はちみつ、ジャム、ミントティーなどが並びます。宿やカフェによっては、そこにアムルーが添えられることもあります。
少量をパンにつけるだけでも香りが広がり、ミントティーとの組み合わせも印象的です。旅先で見つけたら、原材料を確認しながら、その店ならではの味を楽しんでみるのもよいでしょう。
アルガンを「暮らし」から見る
アルガンオイルを美容のためだけに見ると、その背景にある文化の一部しか見えません。木を育て、実を集め、オイルを搾り、食卓で味わう。そうした日々の積み重ねの中にアルガン文化があります。
アムルーは、モロッコの暮らしに根づくアルガンのもうひとつの顔を教えてくれる食べ物です。モロッコを訪れる機会があれば、スークや朝食のテーブルで探してみてください。