アルガンオイルは「植物オイルの中でも酸化に強い」と言われています。
その秘密は、成分バランスと製法、そしてモロッコの歴史の中で受け継がれてきた知恵にあります。
1. 天然の抗酸化成分が豊富
アルガンオイルの最大の特徴のひとつが、ビタミンE(トコフェロール)の含有量の多さです。
一般的なオリーブオイルやホホバオイルに比べても高く、天然の「酸化防止剤」として働きます。
●ビタミンEは脂質の酸化を防ぎ、油の鮮度を保つ役割を持つ
●肌に塗布した場合も、抗酸化作用によりエイジングケアに効果的
つまり、オイル自身を守るだけでなく、肌を紫外線や乾燥ダメージから守る二重の働きを持っているのです。
2. 安定した脂肪酸組成
アルガンオイルの主成分は オレイン酸(約45%前後) と リノール酸(約35%前後)。
●オレイン酸は酸化に比較的強く、オリーブオイルの安定性の源でもある
●リノール酸は必須脂肪酸で美容に有用だが、酸化に弱い一面もある
アルガンオイルは、この両者のバランスが非常に良いため、リノール酸の美容効果を享受しながら、オレイン酸によって安定性も維持できるという「いいとこ取り」のオイルです。
3. 低温圧搾(コールドプレス)による製造
オイルは熱に弱く、高温で搾油すると酸化が進んでしまいます。
しかしアルガンオイルは、伝統的に 低温圧搾法 で抽出されるのが一般的です。
●熱を加えないことで、酸化を促す要因を減らせる
●ビタミンやポリフェノールなどデリケートな成分も壊れにくい
●「香ばしいアルガンオイル(食用)」と「未焙煎のアルガンオイル(美容用)」に分けて製造される点も特徴
この製法こそが、アルガンオイルの長期的な品質安定に大きく貢献しています。
4. 歴史が証明する安定性
モロッコの乾燥地帯では、古くからアルガンオイルが食用・薬用・美容に活用されてきました。
冷蔵庫のない時代から家庭で常備され、長期間の保存が可能だったこと自体が、酸化に強いオイルである証拠です。
乾燥・高温の気候の中でも比較的安定して保存できるオイルだからこそ、1000年以上もの歴史を超えて今日まで受け継がれてきたといえるでしょう。
<それでも注意が必要なケース>
ただし「酸化しにくい」とはいえ万能ではありません。
特に近年の日本の夏は、高温多湿によるオイルの劣化リスクが増しています。
●トラック輸送中、荷台の温度が50℃近くに達することがある
●高温状態が続くと、香りや風味が変化する可能性がある
●湿気による容器ラベルやキャップ部分の劣化にも注意が必要
つまり、保管や輸送環境次第では酸化が早まることもあるのです。
<夏場の保管のポイント>
アルガンオイルの良さを保つためには、ちょっとした工夫が欠かせません。
●開封後は早めに使い切る(目安:6か月以内)
●直射日光・高温多湿を避ける(棚や引き出しの奥がおすすめ)
●冷蔵庫保存が安心(特に真夏や長期保存する場合)
冷蔵庫に入れると一時的にオイルが白濁・固化しますが、常温に戻せば元に戻ります。
これは自然な現象で、品質には全く問題ありません。