モロッコの美容文化を語るとき、アルガンオイルと並んで欠かせないもののひとつがローズウォーターです。
その背景には、香りのよいバラを育て、花を摘み、蒸留してローズウォーターをつくるという、土地に根づいた営みがあります。モロッコ南部には「バラの谷」と呼ばれる地域があり、春になると谷一帯がバラの香りに包まれます。
「バラの谷」
モロッコ政府観光局によると、ローズウォーターの産地として知られているのが、ダデス渓谷のケラア・ムグーナ(Kelaat M’Gouna)周辺です。小さな村々ではバラの栽培が行われ、この一帯は「Valley of Roses(バラの谷)」として知られています。
この地域で育てられている代表的なバラが、香りの強いダマスクローズ(Rosa damascena)です。収穫期は例年5月ごろ。花の香りが失われにくい早朝から摘み取りが行われ、収穫後はローズウォーターや香料などへ加工されます。
収穫の時期には「Moussem des Roses(バラ祭り)」も開かれ、バラは美容素材であるだけでなく、この土地の文化や暮らしとも深く結びついています。
ローズウォーターは「バラの香りを含んだ蒸留水」
ローズウォーターは、一般にバラを水蒸気蒸留または水蒸留する過程で得られる芳香蒸留水です。ハイドロゾル、フローラルウォーターなどと呼ばれることもあります。
蒸留では、バラの花と水を用いて香りの成分を取り出し、蒸気を冷やして液体に戻します。その際に得られる水の層には、ごく少量の芳香成分や水に溶けやすい成分が含まれます。精油とは性質が異なり、ローズウォーターならではのやわらかな香りが特徴です。
なぜモロッコでローズウォーターが親しまれてきたのか
モロッコでは、ローズウォーターは昔から暮らしの中で親しまれてきたフローラルウォーターです。モロッコ政府観光局も、ローズウォーターを伝統的なモロッコ化粧文化を象徴する存在のひとつとして紹介しています。
顔や首まわりに使う化粧水としてはもちろん、香りを楽しむために使われることもあります。強い香りを足すというより、植物そのものを身近に感じるような使われ方をしてきたところに、モロッコらしさがあります。
一本のローズウォーターの背景にあるもの
ローズウォーターというと、透明な液体が入った一本のボトルに見えます。その背景にはバラを育てる土地があり、短い収穫期があり、朝早くから花を摘む人たちがいて、蒸留という工程があります。
モロッコのローズウォーターを使うとき、香りだけでなく、その土地の風景や季節まで少し思い浮かべてみると、毎日のケアも違って感じられるかもしれません。
ローズウォーターの基本的な使い方については、「ローズウォーターとは?効果・使い方・選び方」、毎日の取り入れ方は「ローズウォーターのおすすめの使い方7選」でも紹介しています。










