「本当の美しさは、磨かれたものではなく、純粋なもの。」
この言葉は、モロッコの先住民族であるベルベル人(アマズィーグ)の美に対する哲学を象徴しています。
ベルベル人にとって、「美しさ」とは外側から作られるものではありません。過剰に飾り立てたり、外見を磨き上げることではなく、心のあり方、自然との調和、そして内側からにじみ出る純粋さこそが、本当の美だと信じられています。
たとえば、彼らの暮らしの中には、自然の恵みを活かした美容法が息づいています。アルガンの森から採れるオイル、サボテンの実から抽出される貴重なウチワサボテンオイル、粘土であるガスール、はちみつやバラ水など、自然そのものを大切にしながら、自分の身体と心を整える文化が根づいているのです。
ベルベルの女性たちは、見た目の「完璧さ」よりも、自らの素の美しさを慈しみます。
日々の労働で日焼けした肌も、年齢とともに刻まれるシワも、生きた証として受け入れられ、むしろ誇らしいものとされます。
この格言が教えてくれるのは、「作られた美」よりも「ありのままの美」こそが、人の心を打ち、真の魅力を放つということ。
現代社会では、完璧なビジュアルや加工されたイメージがもてはやされる一方で、私たちはしばしば「本物の美しさ」とは何かを見失いがちです。
そんなとき、このベルベルの格言は、本来の美しさに立ち返るための大切なヒントを与えてくれます。