マラケシュのハマム文化とオイル美容
モロッコ・マラケシュを訪れると、街のあちこちに見られるのが「ハマム(公衆浴場)」の存在です。ハマムは単なる入浴施設ではなく、美容と浄化の文化。その中心にあるのが“オイル美容”です。
ハマムとは何か
ハマムは蒸気浴を基本とする伝統的な入浴文化で、イスラム圏で広く発展しました。モロッコでは日常生活の一部として根付いており、女性たちにとっては美容と社交の場でもあります。
温かい蒸気で体を温め、毛穴を開き、汚れを落とす。その後、スクラブや石鹸、そしてオイルで整える——これが基本の流れです。
ハマムの美容ステップ
1. 蒸気で温める
大理石の床に座り、じっくりと体を温めます。血行が促進され、肌がやわらかくなります。
2. ブラックソープで洗浄
オリーブ由来のブラックソープを全身に塗り、古い角質を浮かせます。
3. ケッサミットで角質除去
専用の手袋(ケッサ)でやさしくこすり、不要な角質を落とします。肌の手触りがつるんと変わる感覚が特徴です。
4. オイルで仕上げる
ここで使われるのがアルガンオイルやウチワサボテンオイル。水分を閉じ込め、肌を保護し、しなやかさを与えます。
なぜオイルが重要なのか
乾燥地帯であるモロッコでは、保湿は生活に直結する大切な習慣です。蒸気と洗浄で一度リセットした肌は、水分を失いやすい状態になります。
そこで植物オイルを塗布することで、うるおいを閉じ込め、肌のバリアを整える。これがハマムの仕上げにオイルが欠かせない理由です。
マラケシュ周辺ではアルガンオイル文化が深く根付いており、近年はウチワサボテンオイルも高級スパで取り入れられています。
ハマムは“浄化”の時間
ハマムはスキンケアだけではありません。
- 体を清める
- 心を整える
- 人とつながる
蒸気の中で静かに汗をかき、古い角質を落とし、最後にオイルで包み込む——それは「新しい自分に戻る」時間でもあります。
現代美容との共通点
日本でも近年、角質ケアやバリア機能、シンプルケアが重視されるようになっています。実はこれらは、何百年も前からマラケシュのハマムで行われてきた美容哲学そのものです。
削りすぎない。与えすぎない。最後は植物の力で整える。派手ではないのに、芯がある。ハマムが今も愛される理由はここにあります。
自宅でできる“ハマム式オイル美容”
- 入浴でしっかり温まる
- やさしく角質ケア(こすりすぎない)
- タオルドライ後すぐにオイルを薄くなじませる
この順番を意識するだけで、オイルのなじみが変わります。ポイントは「お風呂上がりの肌が乾く前」に塗ることです。
蒸気でゆるめ、古いものを落とし、植物オイルで包む。マラケシュのハマム文化は、シンプルで力強い美容の知恵として、今も受け継がれています。










